

# コストの最適化
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 コスト最適化とは、システムのワークロードのライフサイクル全体にわたって改良、改善する継続的プロセスです。本ホワイトペーパーのプラクティスは、組織がコストを最小限に抑えて投資利益率を最大化すると同時に、ビジネス成果の達成につながるようなコストを意識したワークロードの構築および運用を支援します。

**Topics**
+ [設計原則](design-principles.md)
+ [定義](definition.md)

# 設計原則
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 コスト最適化のため、以下の設計原則を検討する: 

 **クラウド財務管理の実装:** クラウドで財務上の成功を達成し、ビジネス価値の実現を加速するには、クラウド財務管理に投資する必要があります。組織は、テクノロジーと使用量管理の新たなドメインで機能を構築するために必要な時間とリソースを投入する必要があります。コスト効率の高い組織になるためには、セキュリティまたはオペレーションの能力と同様、知識の積み上げ、プログラム、リソース、プロセスを通じて能力を構築する必要があります。

 **消費モデルを導入する:** コンピューティングリソースの使用分のみを支払い、ビジネス要件に応じて使用量を増減することができます。例えば、通常、1 週間の稼働日に開発環境とテスト環境を使用するのは、1 日あたり 8 時間程度です。未使用時にこのようなリソースを停止することで、コストを 75% 削減できる可能性があります (168 時間から 40 時間に減少)。

 **全体的な効率を測定する:** ワークロードのビジネス成果とその実現に関連するコストを測定します。このデータを利用すると、生産性および機能性の向上とコスト削減から得られるメリットを理解することができます。

 **差別化につながらない手間のかかる作業にコストをかけるのをやめる:** サーバーのラッキング、積み上げ、電力供給などのデータセンターの手間のかかる運用作業は AWS が行います。また、マネージドサービスを使用することで、オペレーティングシステムやアプリケーションの管理に伴う運用上の負担も解消されます。この結果、IT インフラストラクチャよりも顧客やビジネスプロジェクトに集中できるようになります。

 **コストを分析し帰属関係を明らかにする:** クラウドでは、ワークロードのコストと使用状況を正確に確認しやすくなり、IT コストを収益システムと個々のワークロード所有者に透過的に結び付けることができます。これによって投資収益率 (ROI) を把握できるため、ワークロードの所有者はリソースを最適化してコストを削減する機会が得られます。

# 定義
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 クラウドでのコスト最適化には 5 つの重点分野があります。
+  クラウド財務管理を実践する 
+  経費支出と使用量の認識 
+  費用対効果の高いリソース 
+  需要の管理とリソースの提供 
+  継続的最適化 

 この柱にも、Well-Architected フレームワーク内の他の柱と同様に、コスト最適化のために検討すべきトレードオフがあります。例えば、市場投入に要する期間と、コストのどちらを優先すべきでしょうか。市場投入に要する期間の短縮、新機能導入、納期順守といったケースでは、前払いコストの投資を最適化するよりも、スピードを重視して最適化することが最善なことがあります。

 設計上の決定は、データではなく時間的制約によって下されることがあります。また、長期的にコストを最適化できるデプロイのベンチマークの選定に時間をかけるよりも、「万一の場合」の備えを過度に重視してしまう傾向が常にあります。過大な見積もりの結果、オーバープロビジョニングになり、最適化が不十分なデプロイを行ってしまいます。ただし、オンプレミス環境からクラウド環境に「リフトアンドシフト」式にリソースを移行してから最適化する必要がある場合は、選択肢としては妥当なこともあります。

 適切な労力を当初からコスト最適化戦略に投入すると、ベストプラクティスが一貫して適用され、不要なオーバープロビジョニングも回避できるため、クラウドの経済的メリットをより早く実感できます。以下のセクションでは、クラウドの財務管理の初期および継続的な実装と、ワークロードのコスト最適化のための手法とベストプラクティスを提供します。