CloudHSM CLI を使用した AWS CloudHSM のクォーラム認証を有効にしたキー管理およびキー使用
AWS CloudHSM クラスターにクォーラム認証を設定すると、キーにクォーラム値が設定されている場合、Crypto User は単独で HSM のキー管理オペレーションやキー使用オペレーションを実行できなくなります。本トピックでは、Crypto User が HSM のキー管理オペレーションまたはキー使用オペレーションを実行するための一時的なトークンを取得する方法について説明します。
注記
各クォーラムトークンは 1 回のオペレーションで有効です。そのオペレーションが成功すると、トークンは無効となり、Crypto User は新しいトークンを取得する必要があります。クォーラムトークンは、現在のログインセッション中のみ有効です。CloudHSM CLI からログアウトするか、ネットワークが切断された場合、トークンは無効になり、新しいトークンを取得する必要があります。CloudHSM トークンは CloudHSM CLI 内でのみ使用できます。別のアプリケーションの認証に使用することはできません。
次の例は、クォーラム認証が設定された後、Crypto User がクォーラムが関連付けられたキーを使用して HSM 上で署名を作成しようとした際の出力例です。このコマンドは Quorum Failed エラーで失敗します。これは、クォーラム認証が失敗したことを意味します。
aws-cloudhsm >crypto sign rsa-pkcs --key-filter attr.label=rsa-private-key-example --hash-function sha256 --data YWJjMTIz{ "error_code": 1, "data": "Quorum Failed" }
Crypto User が HSM 上でキー管理オペレーションまたはキー使用オペレーションを実行するための一時的なトークンを取得するには、次の作業を完了する必要があります。
ステップ
ステップ 1. クォーラムトークンの取得
-
CloudHSM CLI を起動します。
-
Crypto User としてクラスターにログインします。
aws-cloudhsm >login --username--password<crypto_user1>--role crypto-userpassword123この例では、
crypto_user1をcrypto-userロールで CloudHSM CLI にサインインさせています。以下の値を自分の値に置き換えてください。{ "error_code": 0, "data": { "username": "crypto_user1", "role": "crypto-user" } } -
quorum token-sign generate コマンドを使用してクォーラムトークンを生成します。
次のコマンドでは、
key-usageは生成するトークンを使用するサービス名を示します。この場合、トークンは key-usage オペレーション (key-usageサービス) 用です。この例では、--filterフラグを使用して、特定のキーにトークンを関連付けています。aws-cloudhsm >quorum token-sign generate --service key-usage --token</path/crypto_user1.token>--filter attr.label=rsa-private-key-example{ "error_code": 0, "data": { "path": "/home/crypto_user1.token" } }この例では、ユーザー名
crypto_user1の Crypto User のクォーラムトークンを取得し、そのトークンをcrypto_user1.tokenという名前のファイルに保存します。この例のコマンドを使用するには、以下の値を独自のものに置き換えてください。quorum token-sign generate コマンドは、指定されたファイルパスでキー使用サービスのクォーラムトークンを生成します。トークンファイルは以下のように検査できます。
$cat</path/crypto_user1.token>{ "version": "2.0", "service": "key-usage", "key_reference": "0x0000000000680006", "approval_data": "AAIABQAAABkAAAAAAGgABi5CDa9x9VyyRIaFbkSrHgJjcnlwdG9fdXNlcgAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAABnPQBLAAAAAAAAAAAAAgAFAAAAGgAAAAAAaAAGQvd2qKY+GJj8gXo9lKuANGNyeXB0b191c2VyAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGc9AEsAAAAAAAAAAA==", "token": "5GlgoWOlQU4fw4QIlbxkPGZVOVoDugFGuSKE/k67ncM=", "signatures": [] }トークンファイルは、次のもので構成されます。
-
service: トークンが関連付けられているクォーラムサービスの識別子。
-
key_reference: このクォーラムトークンが関連付けられているキーの識別子。
-
approval_data: HSM によって生成された base64 でエンコードされた raw データトークン。
-
token: base64 でエンコードされ、SHA-256 ハッシュされた approval_data のトークン
-
signatures: 署名なしトークンに対する Base64 エンコードされた署名付きトークン (署名) の配列。各承認者の署名は、次の形式の JSON オブジェクトリテラルで表されます。
{ "username": "<APPROVER_USERNAME>", "role": "<APPROVER_ROLE>", "signature": "<APPROVER_RSA2048_BIT_SIGNATURE>" }各署名は、パブリックキーが HSM に登録されている承認者が、対応する RSA 2,048 ビットプライベートキーを使用した結果から作成されます。
-
-
新しいユーザーサービスのクォーラムトークンを検証します。quorum token-sign list コマンドを実行すると、そのトークンが CloudHSM 上に存在することが確認できます。
aws-cloudhsm >quorum token-sign list{ "error_code": 0, "data": { "tokens": [ { "username": "crypto_user", "service": "key-usage", "key-reference": "0x0000000000680006", "minimum-token-count": 2 } ] } }minimum-token-countは、クラスター内の 1 台の HSM から取得される、ユーザー名、サービス、key-reference に対応するキートークンの使用可能な最小数をクラスター全体として集約したビューを示します。たとえば、2 台構成の HSM クラスターを想定します。クラスター内の一方の HSM から、ユーザー
crypto_user1によりキー参照0x0000000000680006に対して生成された key-usage トークンを 2 個取得し、さらにもう一方の HSM から、ユーザーcrypto_user1によりキー参照0x0000000000680006に対して生成された key-usage トークンを 1 個取得したとします。この場合、"minimum-token-count": 1が表示されます。
ステップ 2. 承認する Crypto User から署名を取得する
クォーラムトークンを保持している Crypto User は、他の Crypto User からそのトークンの承認を得る必要があります。承認を与える Crypto User は、自身の署名キーを使用して、HSM の外部でトークンに対して暗号学的署名を行います。
トークンの署名にはさまざまな方法が使用されます。次の例は、OpenSSL
この例では、トークン (crypto-user) を持つ Crypto User に少なくとも 2 つの承認が必要です。以下のコマンド例では、2 人の Crypto User が OpenSSL を使用してトークンに暗号で署名する方法を示します。
-
base64 でエンコードされた署名なしトークンをデコードし、バイナリファイルに入れます。
$echo -n '5GlgoWOlQU4fw4QIlbxkPGZVOVoDugFGuSKE/k67ncM=' | base64 -d > crypto_user1.bin -
ユーザーサービス用のバイナリ形式のクォーラム未署名トークンに対して、承認者のプライベートキーを使用して OpenSSL で署名し、バイナリ署名ファイルを作成します。
$openssl pkeyutl -sign \ -inkey crypto_user1.key \ -pkeyopt digest:sha256 \ -keyform PEM \ -in crypto_user1.bin \ -out crypto_user1.sig.bin -
バイナリ署名を base64 にエンコードします。
$base64 -w0 crypto_user1.sig.bin > crypto_user1.sig.b64 -
承認者署名用に以前に指定した JSON オブジェクトリテラル形式を使用して、base64 でエンコードされた署名をコピーしてトークンファイルに貼り付けます。
{ "version": "2.0", "service": "key-usage", "key_reference": "0x0000000000680006", "approval_data": "AAIABQAAABkAAAAAAGgABi5CDa9x9VyyRIaFbkSrHgJjcnlwdG9fdXNlcgAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAABnPQBLAAAAAAAAAAAAAgAFAAAAGgAAAAAAaAAGQvd2qKY+GJj8gXo9lKuANGNyeXB0b191c2VyAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGc9AEsAAAAAAAAAAA==", "token": "5GlgoWOlQU4fw4QIlbxkPGZVOVoDugFGuSKE/k67ncM=", "signatures": [ { "username": "crypto_user1", "role": "crypto-user", "signature": "wa7aPzmGwBjcEoZ6jAzYASp841AfgOvcI27Y/tGlCj1E9DawnFw5Uf0IJT2Ca7T5XD2ThVkUi0B+dhAomdqYNl6aUUFrJyH9GBJ+E0PmA5jNVm25tzeRWBJzneTg4/zTeE2reNqrHFHicWnttQLe9jS09J1znuDGWDe0HaBKWUaz2gUInJRqmeXDsZYdSvZksrqUH5dci/RsaDE2+tGiS9g0RcIkFbsPW4HpGe2e5HVzGsqrV8O3PKlYQv6+fymfcNTTuoxKcHAkOjpl43QSuSIu2gVq7KI8mSmmWaPJL47NPjmcBVB5vdEQU+oiukaNfLJr+MoDKzAvCGDg4cDArg==" }, { "username": "crypto_user2", "role": "crypto-user", "signature": "wa7aPzmGwBjcEoZ6jAzYASp841AfgOvcI27Y/tGlCj1E9DawnFw5Uf0IJT2Ca7T5XD2ThVkUi0B+dhAomdqYNl6aUUFrJyH9GBJ+E0PmA5jNVm25tzeRWBJzneTg4/zTeE2reNqrHFHicWnttQLe9jS09J1znuDGWDe0HaBKWUaz2gUInJRqmeXDsZYdSvZksrqUH5dci/RsaDE2+tGiS9g0RcIkFbsPW4HpGe2e5HVzGsqrV8O3PKlYQv6+fymfcNTTuoxKcHAkOjpl43QSuSIu2gVq7KI8mSmmWaPJL47NPjmcBVB5vdEQU+oiukaNfLJr+MoDKzAvCGDg4cDArg==" } ] }
ステップ 3. CloudHSM クラスターでトークンを承認し、オペレーションを実行する
Crypto User が必要な承認および署名を取得すると、そのトークンをキー管理オペレーションまたはキー使用オペレーションとともに CloudHSM クラスターに提供できます。
キーのオペレーションが、クォーラムトークンに関連付けられた適切なクォーラムサービスに対応していることを必ず確認してください。詳細については、サポートされているサービスとタイプ を参照してください。
トランザクションの実行中、トークンは AWS CloudHSM クラスター内で承認され、要求されたキーオペレーションが実行されます。キーオペレーションが成功するには、承認済みで有効なクォーラムトークンと有効なキーオペレーションの両方が必要です。
例 RSA-PKCS メカニズムを使用して署名を生成する
次の例では、ログイン中の Crypto User が、HSM 上のキーを使用して署名を作成します。
aws-cloudhsm >crypto sign rsa-pkcs --key-filter attr.label=rsa-private-key-example --hash-function sha256 --data YWJjMTIz --approval /path/crypto_user1.token{ "error_code": 0, "data": { "key-reference": "0x0000000000640007", "signature": "h6hMqXacBrT3x3MXV13RXHdQno0+IQ6iy0kVrGzo23+eoWT0ZZgrSpBCu5KcuP6IYYHw9goQ5CfPf4jI1nO5m/IUJtF1A1lmcz0HjEy1CJ7ICXNReDRyeOU8m43dkJzt0OUdkbtkDJGAcxkbKHLZ02uWsGXaQ8bOKhoGwsRAHHF6nldTXquICfOHgSd4nimObKTqzUkghhJW5Ot5oUyLMYP+pZmUS38ythybney94Wj6fzYOER8v7VIY5ijQGa3LfxrjSG4aw6QijEEbno5LSf18ahEaVKmVEnDBL54tylCJBGvGsYSY9HNhuJoHPgiDL/TDd2wfvP4PaxbFRyyHaw==" } }
Crypto User が同じトークンを使ってもう一度 HSM のキー使用オペレーションを試みると、その操作は失敗します。
aws-cloudhsm >crypto sign rsa-pkcs --key-filter attr.label=rsa-private-key-example --hash-function sha256 --data YWJjMTIz --approval /home/crypto_user1.token{ "error_code": 1, "data": "Quorum approval is required for this operation" }
別の HSM キーオペレーションを実行するには、Crypto User は新しいクォーラムトークンを生成し、承認者から新しい署名を取得し、--approval 引数でクォーラムトークンを指定して目的のキーオペレーションを実行する必要があります。
利用可能なトークンを確認するには、quorum token-sign list を使用します。次の例では、Crypto User が承認済みトークンを持っていないことが示されています。
aws-cloudhsm >quorum token-sign list{ "error_code": 0, "data": { "tokens": [] } }